従来工法と比較した金属3Dプリンターのメリット・デメリット

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メリット1:形状の自由度が高く、部品形状がコストに影響しない
3Dプリンターは体積が同じであれば、複雑な形状でも単純な形状でも加工時間は大きく変わりません。加工点が多くても、内部に中空構造を持っていても、加工時間に影響が少ないため、コストにも反映されにくいのです。(サポート材除去などで影響がある場合もあります)

内部中空構造を持つ金属部品を作る場合、従来であれば、いくつかのパーツに分けて製造し、後工程でそれらを繋ぎ合わせる方法が一般的でした。完成部品に継ぎ目ができるという短所がありましたが、金属3Dプリンターであれば、中空構造を持つ金属部品であっても、ひとつなぎの単一部品として造形することが可能です。

この特徴を活かして「部品の強度を落とさない軽量化」「冷却性能などを目的とした中空構造の採用」の面で、従来工法の常識を大きく覆すモノづくりが可能になると期待されています。

メリット2:材質によって加工時間が変動しにくい
特に切削工法との比較では顕著なのですが、3Dプリンターによる造形では、材質によって造形時間が大きく変動しないと言われています。切削工法の場合、難削材とよばれる高硬度の材料を加工すると、加工時間が長くかかるため、マシンチャージが嵩み、コストも増大し工期も伸びてしまいます。切削では時間がかかりすぎる形状や材質であるほど、3Dプリンターでの製造で効果が見込める可能性があります。
従来工法と比較した金属3Dプリンターのメリット・デメリット

メリット3:プロセスの柔軟性に優れ、設計変更に強い
鋳造や粉末冶金では、金型を作らなければなりません。専用の特殊合金で作られる金型は、少なくとも数週間の製作期間が必要です。対する3Dプリンターの場合、金型が必要ないため、発注からテスト部品製作までの期間を大幅に短縮することができます。

また、金属3Dプリンターは、部品形状に細かな変更があった場合に、迅速な対応ができます。イチから金型を作り直さなければならない鋳造や粉末冶金と違い、3Dデータの書き換えで済むためです。ものづくりや物流の流動性が高まる昨今、金属3Dプリンターの需要は益々高まっていると言えるでしょう。

デメリット1:現状の装置は大量生産に不向き
現在の金属3Dプリンターの欠点は、大量生産に向かないことです。一度金型が完成して大量生産体制を確立した後には、部品1点あたりの生産速度、コスト共に鋳造や粉末冶金に軍配が上がります。現在では、大量生産する金属部品には従来工法、オーダーメイドのハイエンド製品には金属3Dプリンター、と住み分けがなされています。

この量産性という課題を克服するために、金属を混錬した樹脂材料をMEX方式やバインダージェット方式の3Dプリンターで造形し、脱脂や焼結することで金属部品を生み出す装置が市場に投入されはじめました。また製造ラインの一部として3Dプリンターの技術要素を取り入れた専用装置を組み込んだ専用生産ラインも登場しはじめたところです。2025年ごろの装置状況に期待したいところです。

デメリット2:3Dプリンターは許容公差が一桁甘い
従来工法では公差の許容水準を非常に追い込んでいるため、現状の3Dプリンターの加工精度が非常に甘いと感じる人が多いかもしれません。0.02㎜の公差を求められる従来工法の中にあって、0.2㎜の公差しか約束できない装置は信頼できないという声もあるでしょう。「寸法精度」と「再現性」を高い水準で実現する日本の品質基準は3Dプリンターの利用を検討する際の大きな検討課題です。

また「なぜ?なに?」をどんどん掘り下げる日本の製造現場のカイゼン圧力に対して、理論的な部分から適切に回答できる知見が育っていないという点も課題として挙がってくるでしょう。装置メーカーが装置の不具合ではない、と説明するだけで、不具合やイレギュラー発生時に現象説明やカイゼン協力に至らない場合もあります。満足な回答を得られない場合、使い手が自ら検証していく必要があります。
従来工法と比較した金属3Dプリンターのメリット・デメリット

デメリット3:3Dプリンター製部品との付き合い方が確立していない
金属3Dプリンターの欠点は、まだ一般的でないことです。そのため3Dプリンターで生産するための最適な設計DfAM(Design for Additive Manufacturing:3Dプリンターならでは設計)への知見や、専用材料の評価基準、造形後の部品の品質評価方法などが確立されていません。造形する側も事前のシミュレーションやパラメーター開発などを都度見直しながら取り組んでいる場合もあるでしょう。

本来であれば、どんな部品も工法を念頭に置いて設計は最適化されるべきですし、設計時点で試験方法を加味し試験をクリアできるように設計されるべきです。既存工法での製造を念頭においた部品では3Dプリンターの可能性を十分に引き出すことはできない場合があります。また試験方法も既存工法で製造された部品にたいする試験と3Dプリンターで製造された試験では試験方法が異なるべきです。

つまり3Dプリンターを使ったモノづくりを行う場合は、製造プロセス全体を見直さなければいけないことになります。この点が大きな普及のネックになっており、最終部品に厳格な認証を通過する必要がある航空・宇宙・医療などの分野にとどまっている現状があります。

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